クリニック所在地

〒171-0022
東京都豊島区南池袋2-26-5
アイアンドイー池袋ビル9階
※池袋駅東口より南池袋公園に向かって徒歩2分

電話番号03-5949-6119

月 火 水 金曜日

午前 09:00〜12:30

木曜日

午前 09:00〜11:00

月 火 水 金曜日

午後 03:00〜06:30

休診日:木曜日午後、土曜日

日曜日、祝日


基本的診療方針

《私たちは『良い透析とはなにか』を常に考え続けます》

本邦の透析患者の平均余命は、残念ながらいまだ同年代の健常人の50%にも満たないのが現状です(下図参照)。また死因の約37%が心血管系疾患、22%が感染症です。当院では透析患者の生存率が世界でトップレベルといわれるフランスTassin病院*の生存率(10年生存率が70%)を目標にし、少しでも元気で長生きして頂くためには何をすべきかを常に考え、生命予後の改善を目指した様々な努力を行っています。当院のホームページをご覧いただき、私たちの診療ポリシーをご理解いただける方、是非お待ちしております

*The Centre de Rein Artificiel in Tassin (Bernard CHARRA, M.D., et al.)

 

図:健常者の60歳男性の平均余命は約22年、60歳男性の透析患者さんのそれは約10年です。

「元気で自力通院のできる透析」を目指します

当院では患者さんが自らの足で歩き通院できる「元気で自力通院のできる透析」を目標にしています。毎日一定の距離を歩くことでストレスの解消、筋肉量の低下や運動能力の低下を防ぐことをお薦めしています。筋肉量を維持することは転倒や骨折のリスクを軽減し、『サルコペニア』や『フレイル』の予防に役立ちます。また適度な運動により、食事がおいしく食べられるようになります。患者さんには「普通の人とかわらない生活」にできるだけ近い「質の高い日常生活」を提供したいと考えています。透析療法の基本は適切な食事により必要な栄養を十分摂取すること、良質な透析による尿毒素の十分な除去、そして適度な運動で体を動かすことです。

透析条件と全身管理

透析治療条件 [治療時間、透析回数、ダイアライザの選択、血液流量、透析液組成、治療モード(HD、オンラインHDF、AFBFなど)]については、透析専門医が回診して各患者の病態を総合的に判断し、常に最適な条件を設定するよう自由度の高い柔軟な対応を行っています。ダイアライザと患者さんとの相性を特に重視しています。透析時間については、当院では最低週12時間以上を強く推奨しており、必要な方には週15時間の透析を標準的に行っています。適切な食事療法をお薦めるするため、管理栄養士による栄養相談も定期的に実施しています。また透析医は透析患者の「かかりつけ医」であるべきとの考えから、透析治療のみならず患者さんの全身チェックを常時おこない、病態の変化に応じて常にその時々で最善の医療が提供できるよう心がけております。同時に大学病院など高度医療機関との密接な連携により、必要に応じて迅速な対応ができるように万全の体制も整えております。

 

透析室の設計思想

都心を一望できる9階からの眺望と明るく都会的な雰囲気の透析室には、最高水準の透析医療環境を実現させるために数々の工夫がこらされています。

こだわりの透析室

人工透析室

ビル最上階にある当院の透析室には柱が1本もないため、死角となるベッドがなく全ベッドがすべてのスタッフから観察可能です。患者さんの顔色などわずかな様子の変化も見逃さないための安全第一の設計です。容態の急変時にも迅速な対応を可能にします。その上でプライバシーの保護やアメニティーにも配慮しました。安全性を第一優先に、信頼性の高い最新のハイテク装置と充実した設備、徹底したセキュリティー対策とリスクマネジメント(危機管理)を実施しています。また透析患者の死亡原因の第2位は感染症であることより、院内感染防止の観点からも特に工夫をこらした「こだわりの透析室」です。透析操作の手技は『透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)』に準拠した当院の透析操作マニュアルに従って全スタッフが統一した手技で行っています。災害時には、当院の「災害対策マニュアル」に則り、スタッフの指示に従って冷静に行動していただきます。

 

透析合併症とその予防

透析は水が命です。多くの研究から透析液の純度が生命予後や合併症の予防に重要であることがわかっています。

当院では2004年の開院当初より、いち早く透析液清浄化に取り組んできました。透析液にエンドトキシンを含まないことは無論、エンドトキシン測定だけではわからないその他の汚染物質や不純物を極力排除した超高純度(ウルトラピュアー)の透析液です。最先端の水処理システムを採用し、上流域からの水質向上*を目指しています。また透析液作成過程での二次汚染防止策や透析液ライン管理を徹底し、オンラインHDFの置換補充液を作成する透析液を安定供給しています。*2016年版透析液水質基準(日本透析医学会学術委員会; 血液浄化の機能•効率に関する小委員会委員会報告)を参照

 

代表的な透析合併症

 (青文字は透析液の水質との関連性が示唆されている合併症です)

1)免疫不全(易感染症)

2)骨・関節障害(異所性石灰化、二次性副甲状腺機能亢進症)

3)透析アミロイドーシス(手根管症候群、破壊性脊椎関節症)

4)腎性貧血

5)動脈硬化症(冠動脈疾患、閉塞性動脈硬化症)

6)血圧異常(低血圧、透析中の血圧不安定)

7)心機能異常(不整脈、心外膜炎、心筋障害、心不全)

8)脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)

9)後天性多嚢胞化萎縮腎・腎癌

10)虚血性腸炎・虚血性腸管壊死

11)皮膚掻痒症

12)視力障害

13)低栄養状態(慢性消耗症候群)

14)精神神経症状(イライラ症状、不眠症など)

 

ハイブリッド透析(腹膜透析と血液透析の併用療法)

人工腎臓には「血液透析」と「腹膜透析」があります従来は透析導入時にどちらか一方を選択することが一般的でした。ハイブリッド透析とは、週5〜6日の腹膜透析と、週1回の血液透析を併用した治療法で、腹膜透析と血液透析の両者の長所を併せ持つ治療法です。以前は腹膜透析を行っている方が、残存腎機能が低下した場合に、腹膜透析の不足分を補うために行われていましたが、最近では透析導入時より併用療法を選択される方が増えています。最近の日本透析医学会に統計調査では、全国で2,000人弱の方がこの方法で治療を受けておられます。腹膜透析を単独で行う場合と比べて、腹膜を休ませる時間(腹膜休息)があるため、腹膜機能を長持ちさせることができる可能があります。

 

透析困難症(透析不耐症)への対応

透析困難症に対しては、アセテートフリー(無酢酸)透析液によるオンラインHDFも可能ですが、当院ではアセテートフリーバイオフィルトレーション(AFBF) も積極的に行っています。透析中に血圧低下や不快な症状(気分不快、欠伸、倦怠感、冷汗、頭重感、吐気など)を伴う患者さん(透析不耐症)に対して、透析中のみならず、治療終了後の疲労感の軽減が期待できる治療法です。

 透析医療に関わる医療費と社会保障について

じん臓機能障害に対する障害者手帳の交付申請について

当院にて「じん臓機能障害」の診断書の発行が可能です(当院院長は身体障害者福祉法第15条の「じん臓機能障害」の診断書を作成できる指定医 となっております)。まだ手帳をお持ちでない方はご相談ください。

透析医療における公費負担と患者自己負担の助成について

人工透析を受けることになった腎不全患者さんは、健康保険の高額療養費制度で、自己負担限度額を一医療機関あたり月額1万円(高額所得者は2万円)にする制度があります。お持ちでない場合は、速やかに手続きをしてください。高額療養費制度とは、窓口で3割の自己負担額を一旦支払い、後日保険者に請求すると一定額を超えた額(所得により異なります)が返金されるものです。ただし「特定疾病療養受療証」を提示することにより、この返金手続きなしで窓口での自己負担が1万円になります。また東京都では、都内にお住まいの方に対して、このうち1万円までの自己負担額を助成しています。東京都以外でも各都道府県ごとに自己負担分を助成する制度があります。東京都の場合は「マル都医療券」が交付されますので、健康保険証、特定疾病療養受療証等と一緒に当院受付に必ず提示してください。

 

専門用語解説 【Q&A】

Q
サルコペニア、フレイルとはなんですか?
A

全身の筋肉量が減少し、筋力が低下した状態を「サルコペニア」といいます。握力の低下や下肢筋力低下による歩行速度の低下など、身体機能の低下した状態です。転倒,骨折、寝たきり等になりやすく予防が大切です。一方、「フレイル」は何らかの要因で外的ストレスに対して弱くなった状態で「虚弱」「脆弱」といった意味です。何らかの介入で改善が期待できる可逆的な状態とされます。体重が減少したり、疲れやすくなったり、活動性が低下し、また体の抵抗力が弱くなって風邪をひきやすいなどの状態になります。サルコペニアとフレイルは密接な関連があり,しばしば両者はオーバーラップします。これらは透析患者さんに特有のものではなく、一般の高齢者にも認められフレイルは要介護状態の前段階と考えられています。

Q
エンドトキシン(ET)とはなんですか? また透析合併症とどんな関係がありますか?
A

エンドトキシンとは細菌(グラム陰性菌)の細胞壁にあるリポ多糖体(リポサッカライド)の総称です。体内に入ると発熱などの強い生体変化をひきおこす物質で、かつてはパイロジェン(発熱物質)といわれていました。水道水中にも存在しています。この物質が透析液中に混入すると、たとえ低い濃度であっても透析の度に繰り返して慢性的に暴露されることで、慢性炎症を引き起こし、栄養障害や動脈硬化症を合併してMIA(ミア症候群)とよばれる病態を引き起こしたり、透析アミロイド症等の発症に関与すると考えられています。(下図参照)


<図> 透析液中に存在するエンドトキシンアセテート(酢酸)は、ダイアライザの透析膜を通過して血液中に移行し、末梢血液中の単球・リンパ球・マクロファージなどを刺激し、サイトカイン(IL-1, IL-6, TNFα)と呼ばれる物質を産生、放出して様々な生体反応を引き起こします。この結果、透析アミロイド症やMIA症候群、骨障害、血圧低下などの合併症の発症に関与すると考えられています。したがって、サイトカインを誘導する可能性のある物質を全く含まない透析液(AFBF専用透析液など)は理想的な透析液といえます。

 

Q
AFBFとはなんですか?
A

Acetate-free Biofiltrationの略です。

血液透析濾過法(HDF)の一種ですが、アセテート(酢酸)の負荷が全くなく、生体適合性が高い(カラダにやさしい)治療法です。専用の透析液(バイフィル®)と補充液(バイフィル®専用炭酸水素ナトリウム補充液)を使用します。アシドーシス(カラダの中の酸とアルカリのバランス)の是正に優れており、またアセテートフリー透析よりもさらに血圧が安定しやすい特長を有しています。詳しく見る

Q
オンラインHDFとはなんですか?
A

HDFは補充液を調達する方法から、オフライン方式とオンライン方式とに、また補充液注入部位の違いにより、前希釈法と後希釈法とに分類されます。前希釈法では大量液置換を必要とし、後希釈法では血液濃縮の問題から濾過量に限界があり、置換液量は少量から中等量になります。オンラインHDFでは透析液から連続的に補充液が作成されるため、容易に大量液置換が可能で前希釈HDFに特に適しています。    詳しく見る

<参考文献>

1 久野 勉「AFBF」血液浄化療法2009、腎と透析、第65巻増刊号 pp152-156 東京医学社 2008

2 久野 勉「透析液清浄化と臨床効果」特集;透析液清浄化技術を極める Clinical Engineering vol.19 No.8 pp892-897, 2008

3 久野 勉「透析液清浄化;技術と対策 」特集;透析液清浄化にむけて 医薬ジャーナル vol.45 No.1 pp115-119, 2009

4.久野 勉「低濃度エンドトキシンの慢性毒性」PP35-46 血液透析とエンドトキシン(編集;竹沢真吾)東京医学社 2002